Reflux Nephropathyの研究. I. : β_2-microglobulin 排泄値よりみた腎機能障害

概要

論文の詳細を見る
感染のない小児VUR74例の尿β_2-microglobulin(β_2-MG)を求め、逆流腎の機能障害について検討した。尿β_2-MGの測定は、一回尿を用い、濃度による差異を補正するためβ_2-MG/U-Cr urinary ratio(U-β_2-MG/U-Cr:μg/mg)を用いた。その結果、逆流患者の41%が異常値を示し、高grade群に高値を示すものが多かった。しかし、gradeとurinary ratioは、必ずしも相関せず、低grade VURでも1/3以上に高値を認めた。IVP正常例の33%、異常例の53%が高値を示したが、両者に相関はなかった。腎発育の指標であるrenal ratioとの関係では、正常発育腎の32%、small kidneyの74%に高値を認めた。一部のsmall kidneyで正常値を示したが、この理由としては、障害部位の線維化、ネフロンの廃絶により糸球体からのβ_2-MGの排泄が低下したためと推測された。術前後のurinary ratioの推移をみると、術前高値の例は、全例術後改善をみた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文