複雑性尿路感染症に対する抗菌薬の併用療法の検討 : クラリスロマイシンを用いた併用療法について

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(背景と目的)我々は以前,複雑性尿路感染症に対する検討でciprofloxacin(CPFX),clarithromycin(CAM)併用投与群の方がCPFX単独投与よりも,除菌率,有効率とも高く,さらに1日投与量は400mgよりも600mgの方が治療効果が高まる可能性を報告した。そこで,上記の結果を確認し,さらに尿路biofilmに対する化学療法の確立を意図して臨床的検討を行った。(方法)複雑性尿路感染症に対して併用群ではCPFXとCAMを各々200mgを1日3回141間,単独群ではCPFX200mgを1日3回14日間投与した。(結果)非留置例では14日目判定で除菌率が単独群30.0%,併用群50.0%,UTI薬効評価基準にもとづく有効率は単独群61.5%,併用群83.5%であった。留置例では除菌率が単独群4.8%,併用群19.0%,有効率は単独群19.0%,併用群42.9%であった。起炎菌のMICが複雑性尿路感染症におけるCPFXのMIC breakpointと考えられる25μg/ml以下の治療効果の検討では,非留置例では除菌率が単独群45.5%,併用群52.1%,有効率は単独群77.7%,併用群87.0%であった。留置例では除菌率が単独群11.1%,併用群18.2%,有効率は単独群22.2%,併用群50.0%であった。留置例で治療後の走査電顕によるカテーテル表面の観察では,単独群ではbiofilmの消失は認めなかったが,併用群では75.0%の症例でbiofilmの消失を認めた。(結論)以上より,尿路biofilmに対しCPFX,CAMの併用療法はある程度,有効である可能性があるものと考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-06-20

複雑性尿路感染症に対する抗菌薬の併用療法の検討 : クラリスロマイシンを用いた併用療法について

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