腎原発骨肉腫の1例

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骨外骨肉腫は全身の様々な部位に発生しうるが,腎に原発することは極めて稀である。我々の調べ得た限りでは現在までに16例が報告されているのみで,本症例は17例目である。本邦での報告としては3例目である。症例は67歳女性。1994年3月,他院内科の腹部単純X線で左上腹部に多数の高密度の石灰化を認めていた。1995年5月,血清アルカリホスファターゼの上昇とともに左腹部に巨大腫瘤を認め,精査目的で当院の内科に入院した。腹部CTで左腎部に石灰化を伴う巨大な腫瘍を認めたため当科に転科した。石灰化を伴った巨大腎細胞癌と術前診断し,左腎摘除術を施行した。病理組織は頬骨および骨の形成を伴う骨芽細胞様の腫瘍細胞が増殖し,骨肉腫と診断した。術後全身の骨を精査したが原発巣を疑う所見はなく,腎原発骨肉腫と診断した。術後2ヵ月で左上腹部に巨大な腫瘍の再発を認めシスプラチンの投与を2クール施行したが効果なく,全身状態は悪化し,術後約4ヵ月で死亡した。量,密度ともに高い石灰化を伴った腎腫瘍は,良性と断定できなければ悪性疾患を積極的に疑う必要があると考えられた。また本症では血清アルカリホスファターゼは進行時に病状の推移や再発を判断するマーカーとなったが,早期診断のマーカーとしては有効でなかった。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-04-20

腎原発骨肉腫の1例

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