イオンクロマトグラフィーによる尿中グリコール酸測定法 : ヒトおよびラット尿における応用

概要

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(背景と目的)蓚酸カルシウム結石症において,尿中に排泄される蓚酸はカルシウムより重要な危険因子といわれる。グリコール酸およびグリオキシル酸は,ヒトにおける重要な蓚酸の前駆物質であり,これらの尿中排泄量を知ることは蓚酸カルシウム結石症の原因,病態などを解明するために有用であると考えられる。今回,我々はイオンクロマトグラフィーを用いた尿中グリコール酸測定法を考案し,その精度,有用性などを検討した。(対象と方法)イオンクロマトアナライザーにオートサンプラーを接続して測定を自動化した。分離カラムは,(株)トーソー製TSK-gelIC-anion-PWを用いた。溶離液は0.01mMフタル酸溶液を,除去液として50mMドデシルベンセンスルフォン酸溶液を用いた。正常男性成人(n=30,平均年齢38.0歳)およびWistar系雄性ラット(n=20,平均体重162.9±11.7g)の24時間尿を活性炭処理後100倍希釈して,検体として用いた。(結果)検量線はグリコール酸標準液0.4μmol/lから2.0mmol/lの間で有意な直線関係を示した。同一検体における測定結果の再現性は,intra-run coefficient of variationが,3.44および3.92%であり,inter-run coefficient of variationは3.38%であった。検体尿にグリコール酸標準液を加えた回収率は100.2±7.41%であった。グリコール酸酸化酵素を用いた酵素法との測定値との間には,相関係数r=0.997と有意な(p<0.01)相関が得られた。正常男性成人におるけるグリコール酸尿中排泄批は0.205〜1.372mmol/day(0.746±0.344mmol/day,mean±S.D.)であり,Wistar系雄性ラットでは,4.868〜7.347μmol/day(6.077±2.289μmol/day)であった。(結論)本測定法の精度,再現性の検討を行ったところ良好な結果が得られた。測定手技も簡単で,測定に要する時間も約20分と短時間であり,有用な測定法と考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-12-20

イオンクロマトグラフィーによる尿中グリコール酸測定法 : ヒトおよびラット尿における応用

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