前立腺癌T1-T2における前立腺全摘除術前内分泌療法の治癒切除率に及ぼす影響

概要

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(背景と目的)根治的前立腺全摘除術前のアンドロゲン除去であるネオアジュバント療法の適応は明らかではない。外科的治癒切除の視点からネオアジュバント療法の適応につき検討した。(対象と方法)T1-T2前立腺癌22例(N群)に対し前立腺全摘除前内分泌療法(以下ネオアジュバント療法)を実施し,前立腺全摘除術単独を行なった24例(S群)と治療成績を比較した。(結果)手術時間と出血量において両群間に差は認められなかった。手術による癌完全摘出の可能作が高い被膜内限局癌および摘出組織内限局癌を治癒切除例とすると,臨床病期別治癒切除率はT1b,T1c,T2においてN群100%,80%,46.7%であり,S群では100%,20%,11%であった。初診時血清PSA値が10ng/ml以下,10.1ng/m1以上のPSA階層別治癒切除率は,N群は各々83.3%,50%であり,S群では63.6%,15.4%であった。ネオアジュバント療法後の血清PSA値が測定限界値(0.1ng/ml)以下となった症例は全例治癒切除例であった。(結論)ネオアジュバント療法は初診時血清PSA値が10.1ng/ml以上の中,低分化癌症例では有用であると考えられた。またネオアジュバント療法後の血清PSA値は治癒切除の予測に有用と考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-11-20