生体腎移植における腹腔鏡補助ドナー腎摘除術の経験

概要

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(目的)生体腎提供者2例に対する腹腔鏡補助ドナー腎摘除術の有用性について検討した。(対象と方法)症例1は64歳,男,4ヵ月の血液透析歴を有する実子の生体腎移植腎提供者である。症例2は67歳,女,3年2ヵ月の透析歴を有する実子の生体腎移植腎提供者である。手術は全身麻酔下,半側臥位にて施行した。2例とも左腎を摘出した。上腹部正中に約10cmの皮膚切開をおき,創縁に2個の挙止鈎を装着。これを吊り上げ器にて牽引し腹壁を挙止した後,3本のトロカールを留置した。Gerota筋膜を開き,腎周囲脂肪組織の一部を把持し,腎を挙止した。non-touch methodにて腎動静脈を充分な長さに注意深く剥離した。尿管を切断後,20%マニトール投与による強制利尿下に腎茎を切断。直ちに腎を潅流し,受腎者の腸骨窩に移植した。ペンロースドレーンを留置後,後腹膜は完全に閉鎖した。(結果)平均手術時間は298分,出血量は少量であった。移植腎の温阻血時間,冷阻血時間はそれぞれ平均4.5分,37分であった。患者は48時間以内に食事,歩行を開始し,平均6.5日後に日常生活可能な状態に回復した。術中,術後合併症は見られなかった。開放性ドナー腎摘除術に比べて,術後の回復は明らかに早かった。移植腎機能も良好であった。(結論)腹腔鏡補助ドナー腎摘除術はその低侵襲性から,生体腎移植のドナー腎摘除術として有用である可能性が示唆された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1996-04-20

生体腎移植における腹腔鏡補助ドナー腎摘除術の経験

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