泌尿器科腹腔鏡下手術における炭酸ガス気腹による呼吸機能への影響について

概要

論文の詳細を見る
目的:泌尿器科腹腔鏡下手術における炭酸ガス気腹による呼吸機能への影響を検討した.対象:1991年11月から1994年6月までに当科で施行した腹腔鏡下手術82例のうち, 呼吸機能評価可能な45例とした.内訳は骨盤内リンパ節切除術14例, 副腎摘除術31例である.また, 当院で行われた腹腔鏡下胆嚢摘除術4例を比較対象とした.方法:全身麻酔下, 極力換気条件を一定とし, 気腹前, 気腹中, 気腹解除時, 手術翌日における動脈血ガス分析を測定した.また, 術前の呼吸機能 (スパイログラム) および肺胞動脈血酸素分圧較差 (AaDO_2), 気腹圧, 手術時間の呼吸機能に与える影響について検討した.結果:気腹にともない動脈血炭酸ガス分圧 (PaCO_2) は有意に増加した.腹腔鏡下副腎摘除術は腹腔鏡下胆嚢摘除術に比べ気腹によるPaCO_2の上昇がより大きかった.術前の肺活量および1秒率はPaCO_2の上昇率と有意な関係は見られなかったが, 術前のAaDO_2が大きい (>10torr) 症例では, 術中PaCO_2の有意な上昇が認められた.また, 気腹圧の高い (≧10mmHg) 症例では, PaCO_2の上昇率が有意に高かった.手術時間が300分を超えた症例では全例術翌日のPaCO_2の変化率が上昇した.結論:泌尿器科腹腔鏡下手術においては, 術前の心肺機能を正確に把握すると共に, 術中の気腹圧, 手術時間, 呼吸状態についての慎重な配慮が必要であると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-08-20

泌尿器科腹腔鏡下手術における炭酸ガス気腹による呼吸機能への影響について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク