Stage PT1, Grade 3 膀胱移行上皮癌の臨床的研究

概要

論文の詳細を見る
1980年1月から1992年12月までの間に治療を行ったgrade 3の成分を含むstage pT1膀胱移行上皮癌33例を対象として, 治療法およびその問題点, 膀胱内再発, 病期進展, 予後について検討を行った.初回治療として25例に膀胱保存手術, 8例に膀胱全摘除術が施行された.膀胱保存手術後の膀胱内再発は25例中18例 (72%) に認められ, 1年非再発率は44%で, 初回治療開始から膀胱内再発までの期間は平均13.1カ月であった.また25例中20例に何らかの補助療法が実施されたが, 再発予防効果は立証されなかった.病期進展を初回治療法別にみると, 膀胱保存手術施行例25例中10例 (40%) が治療開始後平均33.7カ月で病期進展を示したのに対して, 膀胱全摘除術施行例では, 8例中1例 (12.5%) に病期進展がみられた.全症例の3年, 5年実測生存率は81.5%, 65.1%で, 初回治療法則の5年実測生存率は, 膀胱保存手術例で62.2%, 膀胱全摘除術例の場合83.3%で, 後者の生存率が高い傾向が示されたが, 統計学的有意差は認められなかった.初回膀胱保存手術施行例を病期進展の有無に分けて5年生存率を比較したところ, 病期進展例で45.7%, 非進展例では81.5%であり, 進展例の5年生存率は有意に低かった (p<0.05) pT1, G3腫瘍は病期進展の頻度が高く, かつ病期進展の認められた場合には予後が極めて不良なため, 時期を逸することなく根治的手術を行うべきである.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-08-20

Stage PT1, Grade 3 膀胱移行上皮癌の臨床的研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク