腎癌の予後規定因子としての原発巣と転移巣の病理組織学的比較
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概要
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100例の腎癌の原発巣と転移巣の病理組織像について比較検討し,以下の結論を得た.1)59例(59.0%)で原発巣と転移巣のgradeの一致を認めたが,31例(31.0%)で転移によりgrade upが,10例(10.0%)でgrade downが観察された.2)Gradeの変化は転移発生時に生じるものと考えられるが,転移巣内で腫瘍が発育する過程で生じる可能性も示唆された.3)40歳以下の若年者では,grade up症例が少なく,女性は男性に比較してgrade upする頻度が少ない傾向であった.4)原発巣が淡明細胞型のみの症例の転移巣には,紡錘細胞型ないし多形細胞型は認められなかった.5)腎摘症例で転移巣のgrade 1から4の転移出現後の1年生存率は,それぞれ,100%,65%,71%,27%であり,grade 2とgrade 4間(p<0.005),およびgrade 3とgrade 4間(P<0.01)には有意差を認め,転移巣のgradeが,転移出現後の予後を決定する重要な因子であることが示された.6)転移を有する患者の予後は,原発巣のgradeに転移巣のgradeも加味して考えることが望ましい.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1995-04-20
著者
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