腎癌333例の臨床統計的観察 : 第1報頻度,臨床症状及び検査所見

概要

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1965年1月から1982年12月までの18年間に,横浜市大とその関連病院で経験した腎癌症例333例について,臨床統計的観察を行い下記の結果を得た. 1.腎癌の年次的発症頻度は10年で2倍の増加傾向を示している.発症年齢の平均は,59.4歳で,男性は女性より2.4倍の高い発症頻度であった. 2.肉眼的血尿225例(67.6%),顕微鏡的血尿34例(10.2%),疼痛74例(22.2%),腫瘍触知145例(43.5%)が主たる症状であるが,この三徴がそろった症例はわずか24例(7.2%)であった.その他,発熱97例(29.1%),転移症状40例(12.0%),体重減少51例(15.3%),全身倦怠39例(11.7%),精索静脈瘤6例(男性患者の2.6%)などであった.全くの無症状は4例(1.2%)であった. 3.検査所見の異常症例として,赤沈亢進例は55.6%(160/288),CRP陽性60.4%(186/308),α_2globulinの上昇59.4%(170/286),LDH上昇9.0%(24/266),AL-P上昇17.4%(50/285),赤血球増多0.6%(2/318),貧血16.7%(53/318),高Ca血症2.7%(4/150),尿細胞診陽性12.9%(22/170)などが観察された. 4.体重減少を訴える症例,血尿のない症例,赤沈亢進,CRP陽性,α_2-globulin上昇,発熱,貧血を示す症例は有意にstage IVが多く予後不良の症候と考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1987-08-20