アドリアマイシン耐性ラット膀胱腫瘍細胞に対するベラパミールの併用効果についての検討

概要

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RBT-K5細胞はN-butyl-N-(4-hydroxybutyl)-nitrosamineにより発癌させたWistar系雄性ラットの膀胱腫瘍から樹立した. ADM耐性細胞であるRBT-K5 (ADMres.)細胞は,in vitroでアドリアマイシン(ADM)の濃度を徐々に高くすることによりRBT-K5細胞から樹立した.今回の実験で,著者はこれらの細胞におけるベラパミール(VR)による細胞内ADM濃度に与える影響につき検討を行った. ADM濃度が0.5から4μg/mlの間で, RBT-K5細胞のviabilityはRBT-K5(ADMres.)細胞に比べ著明に低かった. ADMの抗腫瘍効果は各々の細胞においてVRを併用することにより増強された. RBT-K5細胞とRBT-K5 (ADMres.)細胞の細胞内ADM濃度はVR 10μg/mlを24時間併用することにより,それぞれ607.7±74.1 ng/10^6 cellsから1,152.1±187.6 ng/10^6 cells (1.9倍)に, 185.1±36.5 ng/10^6 cellsから751.5±258.4 ng/10^6 cells (4.1倍)に増加した.さらに,VRを併用することにより,ADMを培地から除いた後も細胞内ADM濃度を高値に維持することができた.これらの結果から,VR併用療法は,ADMに感受性がある膀胱腫瘍よりもADM耐性の膀胱腫瘍に対してより有効であると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1994-06-20