膀胱全摘術69症例の臨床病理学的検討

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麗胱全摘術を施行した膀胱癌69例の臨床病理学的検討を行った。実測生存率は1年73.3%,2年50.3%,3年48.6%,5年44.1%であった。予後を左右すると思われる12因子について生存率との関係を検討した。性別,腫瘍の数,腫瘍の大きさにより予後に有意差は認められなかった。年齢別では70歳以上の群の生存率は60歳代の群に比して低かった。乳頭状腫瘍は非乳頭状腫瘍よりも有意に予後が良好であった。移行上皮癌の異型度別の5年生存率はG1+G2;71.9%,G3;22.6%であり,移行上皮癌以外の組織型では32%であった。深達度別の5年生存率はpTa+pT1;86.5%,pT2;85.7%,pT3a;20.8%,pT3b;18.2%,pT4;0%であり,pT2とpT3aとの間に有意差が認められた。INF_αはINF_β,INF_γに比して,またly_0はly_1,ly_2に比して有意に予後が良好であった。有茎性腫瘍と広基性腫瘍との間,V(-)とV(+)との間,リンパ節郭清群と非郭清群との間の予後に有意差はなかった。予後因子の重要度を明らかにし,各症例の予後を推定することは治療や経過の観察に対して有用な指標となり,予後改善の一助になると思われる。膀胱全摘術後2年と5年での生死を外的基準として多変量解析(数量化理論II類)を行ったところ,予後因子として深達度とINFの重要度が高く,予後の判別的中率は87.9%(2年),88.5%(5年)と良好であった。pT3a以上の症例あるいはpT2でもINFβ,INF_γの症例に対しては強力な化学療法が必要と考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-09-20

膀胱全摘術69症例の臨床病理学的検討

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