コレラトキシンのラット腎同種移植における免疫抑制効果

概要

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コレラトキシン(以下CT)が免疫機能に及ぼす効果についてラットを用い,in vivo,in vitroで検討を加えた。さらに,WKAHラットをドナー,Lewisラットをリシピエントとするラット腎同種移植モデルを用いてCTの拒絶反応抑制効果について検討を加え,以下の結果を得た。1)CTは胸腺,脾,未梢血中のリソパ球数を著明に減少させるが,赤血球数,好中球数は減少させず,骨髄抑制作用はみられなかった。2)CTはリソパ球混合培養反応を濃度依存性に抑制し,CT 10μg/mlの時の%抑制率は97%であった。また,この抑制効果はCTの添加時期により経時的に減弱し,時問依存性を示した。3)CT非投与群のラット腎同種移植後の生存日数は8.5±0.3(Mean±SE)日であり,CTを移植前日に1回投与した群では生存日数の延長はみられなかった。CTを14日間連続投与した群では投与量の増加とともに生存日数が延長する傾向がみられ,0.2mg/kg投与群では16.6±3.2日と有意に(p<0.05)延長した。また,移植後第3日目からCTを0.2mg/kg投与した群では生存日数は10.3±1.3日と有意な生存日数の延長はみられなかった。以上の結果から,CTは拒絶反応の特に初期に作用し,拒絶反応を抑制するものと思われた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-09-20