腸管自動縫合器を多用したKock Pouch造設術と成績

概要

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1987年3月より1991年2月末までに,膀胱腫瘍のため根治的膀胱全摘除術を施行した患者20名に尿路変更術としてKock pouch造設を行った。手術はSkinnerらの方法に準じて行ったが,縫合の確実性を増し手術時間を短縮する目的で金属stapleを用いた腸管自動縫合器を多用した。尿路の縫合に金属stapleを用いるのは,結石形成や感染の助長が懸念されたが,1例(5%)においてnipple valve先端に露出したstapleに結石形成を認めたのみで,stapleは通常粘膜下に埋没され尿路異物とはならないと考えられる。全患者において最大容量は500ml以上あり,低圧に保たれrefluxも認めていない。合併症として上部尿路の閉塞性変化4例(20%),カテーテル挿入困難3例(15%),1例に容量が500ml以上になるとstress incontinence様の尿漏出を認めたが,全例再手術の必要はなかった。BUNの軽度上昇と高Cl血症に傾くが,腎機能が正常な限り特に治療を必要としない。尿所見も常に膿尿,細菌尿を認めるが,上部尿路感染の事実を認めていない。我々は腸管自動縫合器を多用したKock pouch造設術を行い,手技の確実性と手術時間の短縮ならびに安全性を確認した。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-12-20