前立腺偶発癌の検討

元データ 1990-09-20 社団法人日本泌尿器科学会

概要

過去10年間に関連施設で治療を受けた偶発癌157例の検討を行った.前立腺肥大症の診断で被膜下前立腺剔除あるいは経尿道的切除を行った5,212例のうち,偶発癌は157例(3.0%)に認められた.この頻度はこれまでの報告と比較するとやや低かった.このうちstage A_1は30例,A_2は127例に認められた.組織学的分化度では高分化癌,中分化癌,低分化癌がそれぞれ44.6%,36.9%,18.5%に認められたが,低分化癌の割合がやや高い傾向があった.この組織学的分化度は特にTUR-P症例において癌陽性チップ数の割合と明らかな関係を有していた.偶発癌組織におけるatypical hyperplasia,intraductal dysplasiaの出現頻度はそれぞれ36.9%,85.3%であった.Atypical hyperplasia, intraductal dysplasiaとも低分化型になる程,また癌病変の拡がる程その出現頻度が低下した.このようないわゆるatypical hyperplasia, intraductal dysplasiaと偶発癌の発生病理に関し,今後の検討が必要であろう.臨床癌への進展は157例中6例に認められた.いずれもstage A_2の症例であり,1例以外は中ないし低分化癌の症例であった.Stage A_2の症例に対しては,内分泌療法のみならず,staging lymphadenectomyで骨盤リンパ節に転移のない場合には根治的前立腺別除,放射線療法を治療の一つとして考慮すべきであろう.

著者

舛森 直哉 札幌医科大学泌尿器科
塚本 泰司 札幌医科大学医学部泌尿器科
矢谷 隆一 三重大学医学部病理
熊本 悦明 札幌医科大学医学部泌尿器科
塚本 泰司 札幌医科大学 泌尿器科
高橋 敦 札幌医科大学医学部泌尿器科学教室
小六 幹夫 札幌医科大学医学部泌尿器科学(札幌医大慢性前立腺炎研究会)
堀田 浩貴 札幌医科大学医学部附属病院泌尿器科
中嶋 久雄 三樹会病院
丸田 浩 札幌医科大前立腺炎研究会
丹田 均 札幌医科大前立腺炎研究会
高塚 慶次 札幌医科大前立腺炎研究会
梅原 次男 札幌医科大前立腺炎研究会
三宅 正文 札幌医科大前立腺炎研究会
岩沢 晶彦 札幌医科大
吉岡 琢 札幌医科大
田仲 紀明 札幌医科大学医学部泌尿器科
舛森 直哉 札幌医科大学 医学部放射線医学講座
三宅 正文 旭川赤十字
小六 幹夫 札幌医科大
高塚 慶次 砂川市立病院泌尿器科
高塚 慶次 倶知安厚生病院
梅原 次男 札幌医大尿路感染症研究会
宮尾 則臣 札幌医科大学医学部泌尿器科学教室
小谷 典之 札幌医科大
古屋 聖児 札幌医科大学 麻酔科
柳瀬 雅裕 札幌医科大学 医学部泌尿器科
丸田 浩 札幌医科大学泌尿器科
堀田 浩貴 札幌医科大
丸田 浩 自衛隊札幌病院
岩沢 晶彦 岩沢クリニック
三宅 正文 旭川赤十字病院
岩沢 晶彦 岩澤クリニック
小谷 典之 札幌医科大学 泌尿器科
大村 清隆 札幌医科大学泌尿器科学教室
中嶋 久雄 札幌医科大学尿路性器癌研究会
小椋 啓 札幌医科大学尿路性器癌研究会
高橋 敦 札幌医科大学 医学部泌尿器科
吉岡 琢 札幌医科大学医学部泌尿器科学教室
大村 清隆 市立三笠総合病院
熊本 悦明 札幌医科大
田仲 紀明 札幌医科大
塚本 泰司 札幌医科大学

関連論文

▼もっと見る