家兎実験的腎盂腎炎のレクチンによる糖組織化学的研究
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概要
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正常家兎腎における糖質の分布を9種類のFluorescein isothiocyanate(以下FITC)標識レクチン(WGA,PNA,RCA-1,BSA-1,BPA,DBA,HPA,LoA,UEA-1)を使用して明確にした.レクチンはその糖特異的染色性により,ネフロン各部を識別するのに有用であった.つぎにHorseradish perox-idase(以下HRP)標識のPNAならびにDBAレクチンを主として使用して,実験的腎盂腎炎の急性期から,最長2年の慢性期,および水腎症急性期の染色を行った.PNAは正常腎では,Henleの係蹄(以下ヘンレ)の下行脚ならびにヘンレの上行脚の皮質部,皮質部集合管を染色するが,ヘンレの上行脚の髄質外層部は染色したい.しかし,E.coli NIHJ-JC2株を用いた腎盂腎炎モデルでは,1日目から2年群のすべての動物において,ヘンレの上行脚の髄質外層部までPNAに染色されることが認められた.また尿管結紮のみを行った水腎症モデルでも同様に,髄質外層部のヘンレの上行脚の陽性染色所見を認めた.尿管結紮腎では,3時間目からこの変化が認められた.このヘンレの上行脚における複合糖質の変化が,細菌の接着性を増加させ,水腎症やVURでの易感染性を助長する可能性を示唆した.また慢性腎盂腎炎においてしばしば観察される甲状腺様構造を構成している尿細管が,髄質外層部の集合管およびヘンレの上行脚であることをPNAおよびDBAレクチンを使用して明確にし得た.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
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