前立腺組織の脂質に関する生化学的研究 : 第3報 前立腺液の cholesterol と燐脂質における加齢, 疾患別検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
前立腺液中の total cholesterol濃度と燐脂質濃度を酵素法で測定し,以下の結果を得た.症例は15歳から79歳の男子を対象とした.前立腺液中 total cholesterol濃度は126例中15.9mg/dlから350.3mg/dlで,平均値および標準誤差は130.6±5.9mg/dlであった.前立腺液中 total cholesterol濃度は20歳代で増加し,30歳代ならびに40歳代に peakを示し,60歳代以降に減少した.前立腺炎症例群の前立腺液中 total cholesterol濃度は尿路***感染を有しない症候群に比べて低値を示す傾向を認め,20歳代から40歳代までの症例では前者は後者に比べて著明に減少していた.50歳代から70歳代までの前立腺肥大症群と同世代の前立腺肥大症を臨床的に認めない群の前立腺液中 total cholesterol濃度を比較したところ,両群間に有意差は認められなかった.以上の結果から加齢や前立腺における炎症は前立腺液中 total cholesterol濃度を減少させる重要な要因であることが示唆された.前立腺液中燐脂質濃度は112例中31.6mg/dlから3,181mg/dlで,平均値および標準誤差は276.1±49.9mg/dlであつあ.前立腺液中燐脂質濃度は60歳代が最も高値を示し,一定の傾向は得られなかった.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
著者
関連論文
- 広範囲転移を来たした睾丸腫瘍の1例
- 造影CTによる成人水腎症における腎保存手術適応基準の検討
- 小児上部尿路奇形における血漿レニン活性, 血漿アルドステロンの検討
- 持続陰茎勃起症の1例 : 第177回東海地方会
- 腎鋳型結石に対する ESWL の単独療法 : シンポジウム : 泌尿器科癌の化学療法における biochemical modulation の現況 : 第42回中部総会
- 最近1年間の尿道下裂62例の治療成績
- 陰嚢内平滑筋腫の1例 : 第172回東海地方会
- 前立腺組織の脂質に関する生化学的研究 : 第3報 前立腺液の cholesterol と燐脂質における加齢, 疾患別検討
- 前立腺組織の脂質に関する生化学的研究 : 第2報 前立腺肥大症組織中の cholesterol および燐脂質含有量と組織像ならびに摘出重量に関する検討
- 前立腺におけるコレステロールの研究
- 腎CTスキャンによる腎瘢痕の診断について(第37回中部総会)
- ESWL (MEDSTONE-1000) による上部尿路 : 結石患者35例の臨床経験
- 腎瘢痕のMRI診断ならびに臨床的検討