一側腎摘にともなう後術早期の血清クレアチニン値の変動

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最近8年間に腎摘をおこなった134例(男81例,女53例,平均年齢52.1歳)の術後早期の血清クレアチニン値の変動について検討を加えた.このうち16例(12%)に一側腎摘後血清クレアチニン値2.0mg/dl以上の上昇がみられ,8例は,3.0mg/dl以上となり,3例(2.2%)に血液透析を要した.腎機能低下例では,手術時の年齢が高齢であり,その多くが高血圧,心疾患,糖尿病等のリスクを有していた.手術時間,出血量,術中の血圧低下の割合も腎機能低下例のほうが高い値であった.腎機能低下例の一側腎摘後の血清クレアチニン値(Scr)の変動のパターンは4つに分けられたが,血清クレアチニンの変化量は,ΔScr=(SynCr-Ccr×Scr)/(B.W.×0.6+Ccr)で算出でき,変動のパターンから腎機能低下の要因をある程度予測することが可能である.血清クレアチニン値が一側腎摘直後から直線的に増加する場合は残腎機能の廃絶が,術後数日間徐々に増加したのち回復する場合は残腎に器質的異常のあることが,術翌日のみ上昇してすぐに回復する場合は,術中の循環障害等による一時的な腎機能低下が,術後数日後に上昇してくる場合は,心不全や薬剤の影響等地の原因が考えられた.以上のような結果から,残腎に障害がある場合には一側腎摘直後に代償性の変化がおこらない可能性が示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

一側腎摘にともなう後術早期の血清クレアチニン値の変動

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