前立腺癌に対する経恥骨式前立腺全摘出術症例の術後成績とその予後

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我々は前立腺癌に対し,その治療原則を外科的摘除に求め,東北大学泌尿器科名誉教授宍戸仙太郎先生の考按による経恥骨式前立腺全摘出術,兼所属リンパ節廓清術に2,3の小改良点を加えた術式において治療を行ってきた.昭和43年に降後12年間に経験した前立腺癌は198例であるが,うち137例(約70%)に本術式を施行したので,その予後調査を行い報告する. 5年生存率においては相対生存率71.7%と良好な成績を示した.又臨床的進展度としてTNM分類を施行したが,本分類法によった5年生存率についてみると,主腫瘍像 T_<0-1-2>,においては78.1%,進行型と考えられる T_<3-4>においても62.7%であり,良好な成績と云える結果が得られた.尚淋巴節転移像がT_<0-1-2>においても10%と認められたことは重要な所見であり,淋巴節郭清術の重要さが強調された.術後合併症としては,陰萎及び尿失禁が主体を占めていた.尿失禁に関しては,本愁訴が 1年以上継続した症例は1例のみであった.しかし陰萎に関しては,調査し得た全例にその存続が認められた.術後死亡例はやはり癌死が最も多く認められたが,術後合併症の一つである術後急性腎不全症例が全て慢性腎不全に移行し,これが死亡原因となっており,術後の腎機能保善が,云かえれば腎不全惹起の予防が必要であると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

前立腺癌に対する経恥骨式前立腺全摘出術症例の術後成績とその予後

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