腎盂尿管癌術後の予後および膀胱癌発生に影響する因子の検討

概要

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(目的) 腎盂尿管癌における腎尿管全摘除術後の予後, 膀胱癌発生に影響する因子について検討を行った。 (対象と方法) 1990年3月から2000年11月までに全摘術を行い移行上皮癌が確認された45例で, Kaplan-Meier法を用い解析した。 (結果) 男性33名, 女性12名, 平均年齢は71.7歳だった。部位は腎盂17例, 尿管25例, 上部尿路内での多発3例だった。表在性膀胱癌併発を11例に認め, 術前に経尿道的に治療した。腎尿管全摘術後の5年生存率は全体で71.9%だった。癌死の10例全例で術後にリンパ節または遠隔転移が発生した。癌の組織学的深達度, 異型度, リンパ節転移の有無は予後に有意に影響したが, 性別, 年齢, 癌の発生部位, 術後膀胱癌続発の有無は予後と関連しなかった。術後5年の膀胱癌非発生率は38.8%であり, 膀胱癌の発生は全て術後3年以内におこった。上部尿路に癌の多発を認めた群ではそれ以外の群に比べ, 術後の膀胱癌発生が多かった。腎盂尿管癌の深達度, 異型度は, 術後膀胱癌発生には関連しなかった。 (結論) 深達度pT3以上, 異型度G3, リンパ節転移陽性の症例の予後は悪かった。上部尿路での癌の多発を認めた症例の術後では, BCGや抗癌剤膀胱内注入など膀胱癌続発に対する予防療法も念頭に入れる必要があると考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2003-03-20

腎盂尿管癌術後の予後および膀胱癌発生に影響する因子の検討

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