勃起不全の診断 : 第4報 夜間陰茎勃起現象記録の判読基準
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概要
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夜間陰茎勃起現象(nocturnal penile tumescence, NPT)の記録はインポテンスを訴える患者の勃起状態を記録する客観的記録法である.しかし,器質的インポテンスと機能的インポテンスを鑑別する方法としての評価については確立していない.最近は多くの著者が最大陰茎周でNPTを評価している.NPTは,周期的に発生するREM(rapid eye movement)睡眠時に見られるので,NPTの発現の周期性も重要と考えられる.そこで,NPTを周期性と膨張度から分類した判読基準を作成し,臨床的評価や治療経過と比較し,以下の結果を得た.(1)CSによる分類では臨床的診断や予後との合致率が低く,器質的IMPと機能的IMPの鑑別にはMSの方が有用である.(2)健康成人は全例周期的に強いNPTがみられるMSIaであった.(3)インポテンスを訴える患者21名は,MSIaが7例,周期性はあるがNPTが記録されるMSIbが2例,周期性はないが強いNPTがあるMSIIaが6例,周期性なく弱いNPTが認めらられるMSIIbが3例,殆んどNPTのないMSIIIが1例,NPTが認められないMSIVが2例であった.(4)臨床評価と比較すると,MSIaは機能的インポテンス,MSIIIとMSIVは器質的インポテンスと判定できるが,MSIbとMSIIについてはNPTだけでは器質的とも機能的とも判定できなかった.NPTの記録は,すぐれた勃起能の診断法であるが,その評価については今後とも多数例での検討が必要である.今回作成した判読期準はNPTの記録の客観的表現に有用と考えられる.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1984-09-20
著者
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