水腎症の研究 : 第II報実験的水腎症における尿中成分排泄率の検討と回復能予測の試み

概要

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偏側性水腎症の回復能予測の目的で, 雑種成犬に一側尿管完全閉塞による偏側性水腎症を作製し, 8週間にわたって患側腎盂尿を経時的に経皮的腎盂穿刺法により採取した.次いでクレアチニンを指標に, 尿中ナトリウム, カリウム, 尿素窒素, 浸透圧の各成分ごとに尿中排泄率を算出した.その結果, V/GFR, FENaは閉塞期間が長期となるほど高値となり, 組織学的変化をよく反映した.1, 3, 5, 8週で閉塞を解除, 尿管皮膚瘻とした.4週後の Ccrは, 閉塞解除時の V/GFR, FENa低値のものほど良好であった.殊に V/GFR 5%以下, FENa 3%以下のものにこの傾向は著しく, IVPで良好に造影されるようになった.各成分尿中排泄率は尿量を測定することなく, 穿刺尿で算出可能であり, 高度水腎症における腎機能評価, 腎保存手術適応の指標, 術後回復能の予測の目的で今後臨床的に応用が期待されるところである.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1983-07-20