下部尿路感染症の免疫学的研究 : antibody-coated bacteria (ACB)法を中心に
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概要
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尿道内カテーテル留置の下部尿路および前立腺感染発生に及ぼす影響について検討し,さらに,下部尿路感染症における尿中 antibody-coated bacteria(ACB)法の意義について検討した.対象は尿路に器質的基礎疾患を有する留置患者161例および非留置患者51例の計212例である.下部尿路感染症の診断は尿中白血球数および細菌数に基いた. ACB法の正当性については膀胱壁の免疫螢光抗体直接法,尿中再生 ACB法などを用いて行った.結果は以下のごとくであった.1)留置患者の下部尿路感染率および前立腺炎合併率はそれぞれ87.6%および54.0%で,非留置患者の47.1%および28.3%に比し有意に高かった.2)下部尿路感染症患者165例中46例(27.9%)に尿中 ACBが認められた.3)前立腺炎合併患者の尿中 ACB陽性率は非合併患者に比し有意に高かった.4) ACB陽性患者10例中4例の膀胱壁に螢光を発する形質細胞と考えられる細胞が認められた.5) ACB陽性患者の尿中免疫グロブリン値は陰性患者に比し有意に高値であり,尿中免疫グロブリン値が高値を示した ACB陽性の1患者に尿中再生ACBが認められた.以上より,細菌を被覆する抗体が膀胱壁で産生される可能性,および膀胱尿中の抗体が細菌を被覆する可能性が考えられた.また,男子患者,特に留置患者では前立腺炎の存在も ACB陽性化に関与しているものと推察された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1983-12-20
著者
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