結核性萎縮膀胱の回腸拡大術の成績 : 第2報血中電解質,腎機能,膀胱機能の検討

概要

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55例の結核性萎縮膀胱に対して回腸膀胱拡大術を施行した。第2報として,これらの症例の血液電解質などの変化,腎機能の検査,Scheele法17例,Goodwin法14例,その他の方法4例の生存者の膀胱機能などを検討して,次の結論を得た。1)腎機能の良好な例は尿路に利用した回腸壁より,電解質などのabsorptionはあつても,血液中の電解質などに異常は認めなかつた。2)回腸壁よりのcreatinineの吸収はあるが腎機能の正常な例では血液中のcreatitine値の上昇がなく,血液中のcreatinine値で腎機能を判定することができる。3)腎機能検査として血液中のcreatinine以外にIVPが最もよく結果を知り得る方法であり,造影剤の排泄と腎孟像により,腎機能を判定することが可能である。4)膀胱の機能面より考えるとScheele法に比してGoodwin法がすぐれていた。特に排尿回数,尿線中絶,排尿困難,残尿の面ではGoodwin法がまさつていた。5)生存期間より考えるとScheele法で元気に社会復帰している人が多いことから考えて,Goodwin法のみならず,Scheele法も萎縮膀胱に施行されてよい手術法の1つと考える。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1982-09-20