結核性萎縮膀胱の回腸拡大術の成績 : 第1報生存期間,合併症,膀胱容量,電解質などの吸収と一日排泄量の検討

概要

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55例の結核性萎縮膀胱患者に対して回腸膀胱拡大術を施行した。術式としてはScheele法29例(このうちG法に変更した1例を含む),Goodwin法の。ap-patchまたはcup-patch法22例,その他の方法5例を施行している。第1報として生存期間,死亡例,合併症,使用腸管の長さ,術前・術後の膀胱容量,空置回腸より電解質などの吸収,1日尿中電解質の排泄などについて検索した結果,次の結論を得た。1)生存例は35例(63.6%)であり,最長29年であり,21年以上の生存例が12例,11年以上の生存例は28例であつた。2)死亡例は10例で,このうち手術死は3例(5.5%)であり,初期の症例であつた。3)膀胱容量は術前極めて少ない症例も,術後には200mlから600ml位になり,手術としては満足すべき結果であつた。4)尿路に利用した回腸壁より電解質などのinsorption,exsortion,即ちabsorptionがあることを知つた。5)回腸膀胱拡大術例について電解質などの尿中の1日排泄量を測定して,一部物質を除いては大体正常人と同じであることを知つた。しかし尿量の少ない例に異常値例があつた。腎機能の悪い例でも尿量が多い例は正常に近い排泄を示していたので,この手術を受けた人は水分の多量摂取がよいと考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1982-09-20