水腎症の研究 : 水腎尿中成分変化と腎機能
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概要
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水腎では,腎孟尿が腎孟腎逆流機構によりtumoverしており,水腎機能を反映して変化する。そこで水腎の回復能を腎孟内尿成分濃度の変化から推測できるのではないかと考え以下の研究を行った。方法:犬尿管の完全結紮による備側性水腎およびひと偏側性水腎15症例の左右分腎尿を採取し,尿中Na,K,Urea Nクレアチニン(以下Crと略)濃度を測定した。更に実験的水腎と腎摘したひと水腎を組織学的に検討した。結果:1)水腎が閉塞を解除したとき,その機能を回復しえる水腎尿中K,Urea-N,Cr濃度は,各々10mEq/l以上,150mg/dl以上,20mg/dl以上であった。Naは,濃度では一定した傾向がみられず,排泄率(FENa)でみたとき,回復可能な水腎では,10%以下であった。2)対側正常腎尿に対する水腎尿中K,Urea-N,Crの比率は,腎機能の回復が可能な水腎では,少なくとも20%以上であった。3)回復不可能な高度の水腎の尿中Na,K,UreaN,Cr濃度は,血清値に近似するが,常にやや高値を示した。4)組織学的に,回復が期待できる水腎では,髄質尿細管の障害の程度が大きい割合には,皮質糸球体は,比較的よく保存されていた。回復が望めない水腎は,腎全体の萎縮が高度であり,糸球体の変化が強くみられた。水腎の分腎尿摂取は,今日では超音波断層法により,安全かつ容易に行われており,本法は,水腎機能の回復性をみる上で,臨床的に極めて有用な方法である。
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1982-07-20
著者
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