原因不明の腎性血尿に対する腎血管撮影の検討

概要

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尿路のX線学的検査で異常所見を認めない腎性血尿症例に対して,一定の検査計画を施行して出血の原因が判明しなかった症例,すなわち原因不明の腎性血尿は1968〜1977年の10年間に144例を数え. このうち止血剤を主とした薬物療法に反応せずに肉眼的血尿が持続,あるいは反復再発をきたした42例に対して腎血管撮影を施行し,以下の結果を得た. 1.腎および腎周囲血管系の異常19例,腎実質病変2例と,検査症例の半数に異常所見を認めた. 2.血管系異常の19例中では腎孟尿管静脈瘤が9例と最も多く,このうち5例は手術により確認し,静脈瘤の結紮,切除により血尿が消失した. また血管系の先天性異常として左下大静脈2例,重複下大静脈1例,大動脈後左腎静脈2例,大動脈をとりまく輸状の左腎静脈2例,腎実質内動静脈瘻3例の計10例を認めた. 3.下大静脈あるいは腎静脈などの腎周囲静脈系の先天性異常7例中4例に腎孟尿管静脈瘤の合併を認めた. このような静脈系の先天性異常は腎静脈系のうつ滞をきたしやすく,腎性血尿の predisposing condition の1つと考えられる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文