尿路感染症の診断および治療上のparameterにかんする研究 : 主として血清蛋白各成分について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
尿路感染症(UTI)の診断および治療上の parameterとして,免疫グロブリンやその他の血清蛋白が血沈とともにどのように有用であるかを検討した.測定した血清蛋白は IgM, IgGおよび C_3以外に prealbumin (Pre), ceruloplasmin(Cp),α_2HS glycoprotein(α_2HS), transferrin(Tf), C_3-activator(C_3-A),β_2 glycoprotein I(β_2I), CRPである.対象は UTI患者140名と健康成人対照25名である.血沈と CRPは上部 UTIの診断と治療効果の判定の基準的 parameterとして有用であることが再確認され,個々の血清蛋白では急性 UTIでIgMが増加,上部 UTIの発熱患者で Cp, C_3, C_3-Aの増加が著明, Pre,α_2HSは低下,β_2Iは慢性腎盂腎炎 (PN)の急性増悪のみに増加した.慢性 PNを CRP陰性群,陽性群,急性増悪群の3群に分けて Pre,α_2HSの低下と Cp, C_3, C_3-Aの増加および血沈の亢進の2点について検討すると, CRP陰性群と後2群に明らかに差が認められ, CRP陽性の慢性 PNは急性増悪の潜伏期と示唆された.急性 PNの回復にともなう正常化はCRPが最も早く,次いで Pre,α_2HS, C_3, C_3-Aなどの一群, Cpと血沈は遅れる. CRPは早すぎ血沈は遅すぎるので中間群の血清蛋白値は価値がある.慢性 PNの急性増悪ではこれら測定値の正常化が急性 PNよりも遅れる.このことは治療継続期間の判定に有用である.これらの血清蛋白の変動は UTIに特異的ではないが, UTIの臨床像,経過と密接に相関することから,診断および治療上の有用な parameterとなりうる.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
著者
関連論文
- 複雑性尿路感染症に対する Pazufloxacin mesilate (T-3762) と Ceftazidime (CAZ) の比較試験
- 複雑性尿路感染症に対する pazufloxacin 注射薬の臨床第 II 相試験
- 性感染症としての男子尿道炎におけるAzithromycinの基礎的・臨床的検討
- 性感染症としての子宮頸管炎におけるAzithromycinの臨床的検討
- 大井好忠名誉教授のご逝去を悼む
- カテーテル留置時の感染病態とその対策 : 泌尿器科における術後感染予防と院内感染対策
- 前立腺癌の化学療法(3) : 尿路***癌化学療法の最近の進歩
- 発症に関する問題 : 尿路上皮に対する大腸菌の付着性 : 尿路感染症に関する最近の進歩 : 第80回日本泌尿器科学会総会
- 尿路感染症におけるCeftazidimeの基礎的臨床的検討 (CEFTAZIDIME(CAZ,SN-401))
- 症例3題 : 第40回山陰地方会
- Comparative study of single-dose and three-day therapy for acute uncomplicated cystitis
- 術後感染防止はempiric憲法でよいか : 泌尿器外科感染症に対する新たな実学的治療 : 日常診療における問題点への再挑戦
- 泌尿器科における心身症--心因性インポテンス (特集 ストレスはどこまで病状を左右するか) -- (ストレスにまつわる話題と症例)
- 尿中におけるバイオフィルムの形成とその対策
- 尿路***感染症
- 尿路***感染症由来大腸菌の線毛型,赤血球 凝集素価,溶血能の検討
- 尿路感染症の診断および治療上のparameterにかんする研究 : 主として血清蛋白各成分について
- 65. 半陰陽の3症例
- 尿路感染症におけるCefotetan(YM09330)の基礎的・臨床的検討 (Cefotetan(CTT,YM09330))
- 尿路感染症における6059-Sの基礎的臨床的検討 (6059-S)
- 神経因性膀胱の低緊張性膀胱による排尿困難に対するウラピジルと臭化ジスチグミンの臨床評価
- 九州地方における女性尿失禁の実態調査 : 九州泌尿器科共同研究
- 鹿児島大学医学部泌尿器科学教室における1995年から1999年の外来臨床統計
- 造影剤を用いたCAPDカテーテル留置術
- 原発性限局性膀胱アミロイドーシスの1例
- 長期血液透析患者に同時に発見された副腎褐色細胞腫とACDK合併腎癌の1例
- 性転換手術後に排尿困難をきたした一例
- Gatifloxacinのヒト髄液中移行の検討
- 上部尿路疾患に対する軟性腎盂尿管鏡の有用性についての検討
- 高齢尿路癌患者に対する手術療法の選択と術後合併症危険因子
- 尿路感染症研究の現状 : adhesinとbiofilmについて
- 陰茎癌 : 泌尿器科癌における臓器保存の適応と限界
- 術前に診断可能であった異常血管による成人水腎症の1例
- 腎杯血管腫に対する内視鏡治療の経験
- 外傷性腎盂破裂後6年目に二次性腎盂尿管移行部狭窄に対して内視鏡的治療を行った1例
- クッシング症候群手術症例の臨床的検討
- Pazufloxacinの抗菌力, 体内動態および尿路・***感染症における臨床的検討
- 腎盂尿管腫瘍475例の臨床的検討 : 九州泌尿器科共同研究
- 九州における副腎腫瘍 : 画像診断を中心とした検討
- 腎細胞癌の転移を疑わせた後腹膜神経鞘腫の1例
- 最近10年間の複雑性尿路感染症分離菌の注射用β-ラクタム薬に対する感受性
- 尿路分離緑膿菌の血清型と薬剤感受性の年次推移
- 尿路・***感染症におけるcefluprenamの基礎的・臨床的検討
- 1993年の新鮮尿路感染症分離菌のmeropenemに対する薬剤感受性
- バイオフィルム菌に対する抗生剤、酸化電位水のin vitro殺菌効果
- 上部尿路疾患に対する軟性腎盂尿管ファイバーの有用性についての検討
- 表在性膀胱癌におけるDisease progression症例に関する検討
- 内視鏡的電気凝固術により治療し得た腎盂内血管腫の3例
- NM394の抗菌力,髄液中移行および尿路***感染症におけるNM441の臨床的検討
- 尿路***感染症におけるgrepafloxacinの基礎的・臨床的検討
- 尿路***感染症におけるritipenem acoxilの基礎的・臨床的検討
- Pseudomonas属菌による実験的腎盂腎炎の成立について
- 尿路感染症における緑膿菌にかんする研究(第1報) : 血清群別,エラスターゼ,プロテアーゼについて
- 1999年の複雑性尿路感染症患者分離株の薬剤感受性
- 感染性臍動静脈遺残の1例
- 実験的易感染性マウスの膀胱上皮に対するE.coli接着性の検討
- ニュー・キノロン剤のヒト髄液中移行に関する検討
- 膀胱全摘除術を施行した膀胱癌の臨床的病理組織学的研究
- 慢性血液透析患者の骨代謝と血清macrophage colony-stimulating factor(M-CSF)の臨床的意義
- レニン産生腫瘍の1例
- 急性単純性膀胱炎における尿中Thrombomodulinの検討
- 1997年から2年間の複雑性尿路感染症分離菌の各種抗菌薬に対する感受性
- 膀胱全摘除術におけるLateral pedicleの一回処理法
- 尿路感染症におけるbalofloxacinの基礎的・臨床的検討
- 尿路分離緑膿菌の血清型と薬剤感受性 : 第79回日本泌尿器科学会総会
- 尿路***感染症における血中エンドトキシンの検討 : 第80回日本泌尿器科学会総会
- 不妊症を主訴に受診した腎・精巣上体結核の1症例
- 急性単純性膀胱炎にかんする臨床的研究
- 九州における副腎腫瘍 : とくに副腎偶発腫瘍についての統計学的検討
- 透析患者に同時に発見された褐色細胞腫とACDK腎癌の1例
- 細菌の尿路上皮細胞に対する接着性の検討
- 腎被膜から発生した血管外皮細胞腫(血管周皮細胞腫, Hemangiopericytoma)と膀胱腫瘍(移行上皮癌)の合併
- 進行性泌尿器癌の手術療法 : 膀胱癌 : 膀胱全摘(骨盤内臓器全摘除術を含む)ならびに転移巣に対する手術療法の意義 : 進行泌尿器科癌の手術療法 : その適応と限界
- 前立腺炎症候群へのアプローチはここまで進んだ : 現時点における診療の実際と課題 : (1) 前立腺炎症候群の診断と治療の現状 : 泌尿器科癌における臓器保存の適応と限界
- 前立腺炎症候群へのアプローチはここまで進んだ
- 水腎症に於ける上部尿路機能の臨床的研究 : ^Tc-DTPAによる分腎機能および尿流動態を中心として
- 真性半陰陽の1例
- 尿路感染症におけるTicarcillinの基礎的・臨床的検討 (Ticarcillin論文特集号)
- 尿路***感染症における腸球菌の意義