角閃石の組成及び熱的研究
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概要
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角閃石の熱的性質について研究をおこなった。D.T.A.とT.G.A.曲線より,450℃より550℃および830℃附近にかけて小さな発熱曲線があり,又,1070℃附近に最大の吸熱曲線がある。これを以前の研究結果と比較すると,角閃石個体間によりかなりの相異がみられ,1040℃より1090℃にかけての吸熱曲線はほぼ一致するが,300℃より500℃附近の発熱曲線については一致しない。この1040℃より1090℃までの吸収曲線は角閃石の分解によるものとみられる。又,830℃の発熱曲線はX線粉末法でしらべると輝石の生成と関係があることがわかる。その故1040℃より1090℃附近の熱分解は830℃附近よりはじまり輝石を生成する固相反応の後につづいておこなわれるものとかんかえられる。この固相反応にひきつづいておこる分解温度は,組成中の鉄-マグネシウムの量に関係し,マグネシウムの量がふえれば,上昇することが知られている。この場合,固相反応のおこりはじめる最初の構造変化につき,二次元投影法でしらべてみた。しかし,はっきりした変化はみとめられなかった。ただ室温において加熱前の試料につき,4軸回折計により強度測定をおこない,原子間距離よりSiとAlの比は0.7:1.3と計算した。1070℃という分解温度は4配位位置にAlの含有量の高いものは分解温度が高いという事実と一致している。又,種々の温度に加熱し,急冷した試料について格子常数を測定してみると,350℃〜700℃より急冷したものにつき,単位格子体積の収縮がおこることが判明した。この原因は不明である。収縮以前と以後のものにつき精密構造解析をおこなう必要があるであろう。又,加熱による色の変化の原因についても考察した。
- 1974-09-30
著者
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大野 実
Koa Development Company Ltd.
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草地 功
Department Of Earth Science Faculty Of Education Okayama University
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草地 功
Department Of Earth Sciences School Of Education Okayama University
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河原 昭
Department Of Earth Sciences Science Faculties Okayama University
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