超弾性型NiTi合金線の可撤式矯正装置への応用 : 熱処理条件の検討
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概要
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超弾性型NiTi合金線は, 形状記憶効果, 超弾性特性, スプリングバック特性などの優れた性質を持っているため, これらの特性を, 可撤式矯正装置へ応用することを目的として本研究を行った.それには, まずこの合金線を模型上に適合すること, 次いで適合形態を記憶させること, 記憶した合金線の荷重をコントロールすることが, この種の装置を製作する上で必要である.そこで本研究では, これらの必要事項を満たすため, 二段階の熱処理を設定し, それぞれについて最適な熱処理条件を検討した.得られた知見は以下の通りである.1.450℃90分間の熱処理(一次熱処理)によって, NiTi合金線の変態温度を室温以上にし, 技工操作の点から便宜上, 形状記憶合金にすることが可能であった.2.適合された形態を記憶させるのための二次熱処理条件としては, 480℃〜520℃が適しており, この熱処理により機械的特性をほぼ元に戻すことが可能であった.490℃前後の熱処理では適合形態の記憶に時間がかかるとともに荷重レベルは低いものが得られ, 510℃前後の熱処理においては短時間で記憶が可能であるとともに荷重レベルの高いものが得られた.すなわち荷重レベルに関しては治療内容に応じて選ぶことが可能であると考えられる.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1991-05-25
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