歯形状の三次元計測(第六報) : 複眼式レーザー変位計による歯模型の傾斜計測および計測データによる咬合シミュレーションについて
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概要
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臼歯石こう模型のアンダーカット部を含む形状を計測するため, 複眼式変位計とコンピュータ制御歯模型駆動装置(CAMM-3)からなる計測システムを用いて傾斜計測を行った.つまり, ゴニオステージを±20°傾斜させて分割計測し, 得られた2組のデータを"TILCOMPO"プログラムによって結合した.複眼式変位計を用いることによって回転計測の必要がなくなったので, 計測時間約40分, データ結合約3分で最大豊隆部から歯頸部に至る計測およびCG化ができた.これによりアンダーカット部も含めた歯の全体の形状が計測できるようになった.この方法は, 補綴物のCADのときのデータベース作りに利用できるものと考えられる.次に, 前報で計測されたクラウン用支台歯のデータに対し辺縁部の認識を試みた.つまり, "MARGE"プログラムによりデータ点間の傾きdz/dxを計算し, その変化の量を規定することでまず歯肉縁の認識を行い, 次に同様に変化率を既定して, 歯肉縁より上方にある辺縁部を検索した.その結果, 外冠と内冠が接触する所であり, かつCAD/CAMによるクラウン製作において非常に重要な場所である辺縁部を, 支台歯全周にわたり認識することができた.さらに, 上下顎歯模型を咬合器に取付けた状態で計測することにより, 初歩的な咬合のシミュレーションを試みた.まず咬合器に取付けた上顎部をほぼ180°回転させて上向きにしCAMM-3のワーキングステージに置き, 上下顎左側の5〜7の形状を個別に複眼式変位計で計測した.そして, これらの2組のデータを"OCCLUS"プログラムにより結合し咬合させた.その結果, 上顎の反転角度を変化させて行くと, わずかな咬合接触が現れ始め, さらに角度を増加すると, それが次第に大きくなってゆく様子がシミュレートできた.この方法では, 上顎の反転角度を任意に変化させられるので, 仮想的な咬合状態も容易にシミュレートでき, またこれによってコンピュータ上でのバイト調整などの可能性も広がってくると思われる.
- 1990-07-25
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