金属焼成クラウンに関する研究 : Au, Ag, CuとGaの練和物の生成相と諸性質
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概要
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歯科の修復物の作製方法のうち, 鋳造工程を省いてクラウン等の修復物を作る方法を考案した.すなわち, ガリウムと金属粒子とを練和し, 粘土状の状態で成形し, これを加熱して短時間で硬化させるもので, 製作時間を大幅に短縮できる.今回は基礎実験として金, 銀, 銅とガリウムとを練和し, これを加熱したときの寸法変化, 圧縮強さ, 圧縮ちぢみ, 硬さ, 変色, 生成相を調べ, 以下の結果を得た.1)金, 銀, 銅とガリウムのいずれの合金も硬化時, 加熱時には膨張した.2)圧縮強さでは金で300℃以上に加熱(AuGa_2→AuGa)すると強さは室温のものの2.6倍にもなった.銀は350℃の加熱により一時強さが下がり(Ag_<0.72>Ga_<0.28>→Ag_3Ga)450℃でまた上昇した(Ag_3Ga→AgGa).銅では475℃以上は強さが1/2以下に減少した(CuGa_2→不明相).3)圧縮試験時のちぢみ率は金, 銀では加熱により大きくなり銅ではほとんど変化しなかった.4)硬さは圧縮強さと似た傾向を示し, 金で高温処理により硬くなった.銀は350℃で硬さが下がり450℃で上昇した.銅の加熱試料では室温と同じ値になった.5)変色試験では金で, ほとんど変色せず, わずかに黄色が強くなる傾向がみられた.銀では反射率Y(%)がわずかに減少するが大きな変色はみられなかった.一方, 銅では280℃加熱のものまでは反射率の減少はわずかであるが, それ以上のものは1/2〜1/3に減少し黒化した.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1990-11-25
著者
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伊藤 正人
日本歯科大学歯学部歯科理工学教室
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吉田 隆一
日本歯科大学歯学部歯科理工学教室
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宮坂 平
日歯大・生命歯・理工
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宮坂 平
日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座
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岡村 弘行
日本歯科大学歯学部歯科理工学講座
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三宅 壮平
日本歯科大学歯学部理工学教室
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瀬尾 育義
日本歯科大学歯学部理工学教室
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水谷 嘉之
日本歯科大学歯学部歯科理工学教室
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花香 政人
日本歯科大学歯学部歯科理工学教室
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瀬尾 育義
日本歯科大学歯学部歯科理工学教室
-
宮坂 平
日本歯科大学生命歯学部 歯科理工学講座
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