スメアー層が象牙質への接着に与える影響 : 研削条件と接着強さの関係

概要

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スメアー層の性質が象牙質への接着に与える影響を調べるために, #180〜#1200の研削紙で各々仕上げた象牙質への接着を検討した.生体組織である象牙質に取り込まれ易いPhenyl-P 20%を30%のHEMAに溶解した水溶液で, 各研削象牙質を60秒間前処理した後, 5% Phenyl-P/TEGDMA光重合型ボンディング剤を接着した.#180と#400の研削紙で形成された粗く弱いスメアー層で覆われた象牙質には, 4μmの樹脂含浸層が生成したが, 拡散・重合した樹脂によってスメアー層が十分補強されず, 引張荷重による破壊はこの部分で起こり, 計測される接着強さも6〜7MPaと低い値であった.しかし, #600および#1200で研削された緻密なスメアー層で覆われた象牙質では, 2μmの樹脂含浸層が認められ, 接着強さは9〜10MPaに向上して, 完全なボンディングレジンの凝集破壊を示した.本研究にあるようなスメアー層を除去しない接着システムでは, スメアー層の性質が象牙質の接着に影響を与えることが分かった.
日本歯科理工学会の論文
1994-03-25