セラミッククラウンの適合性に関する研究
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概要
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本研究はセラミックコアーコーピングと金属焼付陶材冠用メタルコーピングの辺縁適合性を比較検討し, 併せてセラミックコアー材が収縮を起こさない原因について究明したものである.その結果, 次のような結果が得られた.1)前歯(1)の場合, セラミックコアーコーピングの辺縁適合度の平均値は24μmであり, メタルコーピングの平均値は71μmであった.一方臼歯(6)の場合, セラミックコアーコーピングの辺縁適合度の平均値は16μm, メタルコーピングの平均値は63μmであった.以上の結果, セラミックコアーコーピングはメタルコーピングより辺縁部の適合性がより緊密であった.2)走査型電子顕微鏡によるセラミックコアー材の観察の結果, 約1, 315℃で焼成された試料においても, ポーラスな微細構造が認められた.3)X線微小部分析装置による分析の結果, セラミックコアー材にはAl, Si, Mg, Ca, Ba, Crの元素が確認された.4)X線回折装置による分析の結果, 4℃, 500℃, 1, 200℃で焼成されたコアー材からはAl_2O_3, SiO_2, MgOのピークが確認され, 約1, 315℃で焼成されたコアー材からはスピネル(MgAl_2O_4)のピークが認められた.以上のことから, アルミニウムとマグネシウム酸化物の反応によりスピネルを形成し, このスピネルはこれらアルミニウムとマグネシウム酸化物の混合物より大きな体積を占めることが示唆された.したがって, これら体積の膨張により焼成収縮を補償していることが示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1986-05-25
著者
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