陶材焼付用Au-Pd-Ag系合金添加元素が焼付界面に及ぼす影響
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概要
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本研究の目的は陶材焼付用Au-Pd-Ag系合金中の添加元素が陶材との焼付界面に及ぼす影響について究明することである.実験には三種のAu-Pd-Ag系合金(H, C, P)を使用した.SEM, ESCA, EPMAを使用して, これら合金の高温酸化挙動, 酸化層の構造, 合金と陶材との結合状態の様相を分析した.合金表面のSEM観察ではディギャシング後に粒状物が認められ, また焼付界面の観察から合金をディギャシングしなかった場合, 焼付界面に多くの気泡が認められた.ESCAによる分析ではディギャシング後に合金表面にSnO_2, In_2O_3が認められが, 合金HとCではディギャシング後の酸化処理でSnO_2の相対強度は増加し, In_2O_3は減少した.一方, 合金Pにおいてはディギャシング後の酸化処理でSnO_2の相対強度は減少し, In_2O_3は増加した.EPMAの特性X線を使用した面分析により合金表面に集積するSn, Inの相対量の測定を行った.分析は次の二条件により行った.A)加速電圧10kV, 試料電流40nA, B)加速電圧20kV, 試料電流10nA.その結果, 合金表面に集積するSn, Inの相対量は条件B)で測定した場合より条件A)で測定を行った場合の方が大きかった.また同様な分析を, 試料作製法を変えた場合についても行った.試料の作製法は次の二条件により行った.1)as cast→酸化処理した試料, 2)as cast→ディギャシング→酸化処理した試料.その結果, 合金表面に集積するSn, Inの相対量は条件2)で作製された試料より条件1)で作製された試料の方が大きかった.EPMAによる合金と陶材との界面の組成像の観察から, 合金中の添加元素が合金マトリックス内で内部酸化層を形成している様相が認められ, また酸化層の形態はディギャシングした試料としなかった試料とでは明らかな相違が認められた.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1987-11-25
著者
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