マンゾーニに於ける歴史其儘と歴史離れ
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概要
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独自の方法で、歴史小説の分野を開拓しつつあった鴎外が、しかし、その方法自体に内在するひとつの難点にさしかかって苦しみ、そのいきさつを、エッセー「歴史其儘と歴史離れ」に書き記している。私のこの論文の表題は、当然、鴎外のこのエッセーに拠った。マンゾーニの歴史小説に関する考え方と方法が、鴎外のそれとある点でかなり近似していたこと、また、それにより、鴎外と同様の難点につまづき苦しみぬいたことが、鴎外のエッセーを想起せしめたからである。私がこれから述べようとするマンゾーニ論に於て、鴎外自身についてふれることは、必ずしも本質的には意味をなさないけれども、「歴史其儘と歴史離れ」という言葉があまねく知られているかどうかの懸念もあり、ひとまず、鴎外のエッセーについて、簡単に言及しておいた方がよかろう。
- イタリア学会の論文
- 1972-01-20
著者
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