クローチェとフォスラー : ロマンス語学における観念論の成立

概要

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クローチェが残した業績は計り知れない位多方面にまたがっているが、言語学、殊にロマンス語学に於て、フォスラーに始まる観念論学派(美学派)に礎石を与えたことは後世に記念すべき功績であろう。クローチェの無二の親友であったK・フォスラー(1872-1949)は、その著『言語学に於ける実証論と観念論』(Positivismus und Idealism in der Sprachwissenschaft, Heidelberg, 1904)及び『創造及び発達としての言語』(Sprache als Schopfung und Entwicklung, ebenda, 1905)を以て、従来の実証主義に挑戦したのだが、彼が拠所としたのは、前者の著書の序言に見られる如く、クローチェの『表現の学及び一般言語学としての美学』(Estetica come scienza dell'espressione e linguistica generale, 1902)であった。フォスラーがクローチェの言語哲学を踏襲して如何にその理論を発展させて行ったかを、以下クローチェの『美学』に即して見て行きたい。
1967-01-20