分娩立ち会いが立ち会う夫の感情に与える影響 : 立ち会い群と非立ち会い群の比較

概要

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立ち会い分娩の夫の感情に与える影響を検討するために, 著者らが勤務する病院で2001年8月からの5ヵ月間に経膣分娩した褥婦の夫を対象に, 無記名自記式アンケート調査を実施した。感情の質問については先行研究を参考にして17項目作成し, おのおの「はい」か「いいえ」を選択させる形式とした。質問項目はその類似性から「出産時の夫の役割」などの4領域に分類した。調査票は協力が得られた124人(83%)から回収でき, その内訳は分娩に立ち会った夫が83人(立ち会い群), 立ち会わなかった夫(非立ち会い群)が41人であった。立ち会い群が非立ち会い群に比べて, 「出産時の夫の役割」に分類した各質問に対し有意に高い肯定的な回答率を示したが, 「父親としての自覚」「妻に対する気持ち」「お産に関する印象」については両群間で差を認めた質問はほとんどなかった。一方, 分娩立ち会い後に否定的な感情をもった夫も少数ながらいることが注目された。以上のことから, 立ち会い分娩による夫の感情への効果を過剰に期待しないこと, また, 立ち会いが夫に好ましくない影響をもたらし得ることも十分考慮したうえで, 夫立ち会い分娩を勧めることが重要と考えられた。