金 (111) 面上に共吸着によって形成させた二成分系チオール自己組織化単分子膜のナノメートルスケールドメイン上への西洋ワサビペルオキシダーゼの選択的固定化(<特集>生体関連機能と分析化学)
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概要
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金 (111) 単結晶表面でナノメートルスケールで相分離したジチオビス-N-サクシンイミジルプロピオネート (DTSP) と 1-テトラデカンチオール (TDT) の二成分チオール自己組織化単分子膜 (SAM) の DTSP ドメイン上に,西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP) を選択的に共有結合で固定化し,その表面分布状態と酵素活性を調べた.DTSP と TDT の共吸着によって形成させた,HRP 固定化前の二成分チオール SAM の走査トンネル顕微鏡 (STM) 測定では,直径が 10〜40 nm 程度,見掛けの高さが 0.3〜0.7 nm の相分離によって形成されたドメインが観察された.このような基板を HRP 溶液に浸漬させて DTSP に HRP を共有結合させた後,1 M KCl 溶液で洗浄し,HRP を固定化させた.HRP 固定化後の金基板表面の原子間力顕微鏡 (AFM) 像では,HRP 固定化前の STM 像で観察されたドメインと同程度の大きさで,深さが 3.6±1.9 nm のホールが観察され,HRP 分子が DTSP ドメイン上にほぼ選択的に固定化されていることが示唆された.カルボキシルフェロセンをメディエーターとして用いたボルタンメトリーから,固定化された HRP の酵素活性が保たれていることが確認された.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2002-06-05
著者
-
垣内 隆
京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻
-
保原 大介
京大院工
-
垣内 隆
京都大学大学院工学研究科
-
保原 大介
京都大学大学院工学研究科
-
鵜野 雄介
京都大学大学院工学研究科
-
垣内 隆
京都大学大学院 工学研究科
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