未変性条件の二次元電気泳動法による水溶性タンパク質の酵素活性解析(<特集>生体関連機能と分析化学)
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概要
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界面活性剤などの変性剤を用いない未変性条件の等電点電気泳動とサイズ分離電気泳動を組み合わせた二次元電気泳動法(2-DE)では,生体の水溶性タンパク質をその生理活性を保持した状態で,高い分離能で分離することができる.本研究では,この 2-DE により,ウシ網膜の水溶性タンパク質を分離した後,エステラーゼ,デヒドロゲナーゼ,トランスフェラーゼ,スーパーオキシドディスムターゼ (SOD) 活性を持つ酵素を,それぞれの基質,発色団を用いることにより 2-DE ゲル上で検出した.また,コリンエステラーゼの阻害剤であるテトラヒドロアミノアクリジン(塩酸タクリン)処理後の,各々の酵素活性の変化を比較したところ,デヒドロゲナーゼ,エステラーゼ活性は低下したが,トランスフェラーゼ活性は低下しなかった.このことは,この酵素群解析が酵素阻害剤の特異性や非特異性を調べるのに有用であることを示している.更に,この 2-DE により分離された酵素の構造を質量分析法と組み合わせることで解析できることを示した.以上,この 2-DE で分離された水溶性タンパク質は,酵素活性などの機能解析と構造解析が可能であると考えられる.
- 2002-06-05
著者
-
大西 弘美
愛媛大学理学部物質理学科ベンチャービジネスラボラトリー
-
真鍋 敬
愛媛大学理学部物質理学科(化学系)
-
真鍋 敬
愛媛大 理
-
島崎 洋次
愛媛大 理
-
島崎 洋次
愛媛大学理学部物質理学科ベンチャービジネスラボラトリー
-
平加 容子
愛媛大学理学部物質理学科ベンチャービジネスラボラトリー
-
真鍋 敬
愛媛大学理学部
-
島崎 洋次
愛媛大学理学部
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