HyperStation : 分散オブジェクト指向言語の構想
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我々は,次世代マルチメディア操作環境として,"Hyper Station"の研究開発を進めており,マルチメディア情報を含む様々な形態の情報を分散オブジェクトとして表現し,これを作成/操作/共有する枠組を実現することが重要であると考えている.そして分散オブジェクトが備えるべき要件を以下のように考えている.・情報を視覚的に直接操作できるように,全ての分散オブジェクトが見た目(ビュー)を持ち,指示(イベント)を発行することができること.・分散オブジェクトを容易に作成/編集できること.・複数ユーザが協同作業を行なえるように,オブジェクトを共有する機能を備えること.・ネットワーク透過なオブジェクト空間中で分散オブジェクトに対して命名/参照ができること.・一度生成したオブジェクトは,プロセスといった枠組を越えて存在し続けること.我々は,このような分散オブジェクトを操作する環境として,Hyper Shellの研究開発を進めており,この環境を実現するための,柔軟で表現能力に富んだ言語システム(仮称"Hyper Scheme")を検討している.この言語システムは,仕様面では,仕様の単純性と表現能力の高さ,拡張性/柔軟性/安全性,オブジェクト指向システム,工学面では,移行及び教育の容易性(標準),他言語との結合容易性,デリバリの容易性,を備えることが重要であると考えている.現在,これら全ての,性質を持ち得る言語システムは存在しないが,Lisp系の言語を基本にこれを拡張することで上記の要求を充たすことを目指しているLisp系の言語としては,小さい言語仕様で高い表現能力を持ち,世界標準言語の地位を確立しているSchemeを採用し,さらに,オブジェクトシステムとして,Common LISPのオブジェクトシステムであるCLOSを実装する.ただし,このような言語でHyper Shell全ての環境を構築することは現実的ではなく,特に,これまでのソフトウェア資産や今後の標準の方向を考慮し,システム記述言語の実質的標準として期待されている.C++をこの言語システムに取り込む.そして,実行効率を重視した。C++のような静的な言語の特徴を生かしつつ,インクリメンタルなモジュールの追加や置換えを可能にする機能や,C++をインタプリティブに実行する機能を取り入れることで,拡張性/柔軟性/安全性を実現する.C++の制御は,CLOSのメタオブジェクトプロトコル(Meta Object Protocol: MOP)を使用してC++メタオブジェクトを定義し実現する.以降本稿では,Hyper Schemeのコア部分の構造,共有オブジェクトのガードの方法,GUI制御スクリプト機能に関して述べる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1992-09-28
著者
関連論文
- HyperStation : 分散オブジェクト指向シェルHyperShell
- HyperStation : 分散オブジェクト指向シェルHyperShellのオブジェクト共有方式
- オブジェクト指向ダイナミック言語システム (オブジェクト指向技術小特集)
- Cyber Community Support System : Netcollage^
- HyperStation : 分散オブジェクト指向言語の構想
- CLOSの実現