OCoreにおける4つ組+1構造による行列共同体の実装

概要

論文の詳細を見る
われわれは、簡素で拡張性の高い並列オブジェクト指向言語として、RWCP (新情報処理開発機構)で開発が進められているOCoreに注目している。OCoreは従来の並列オブジェクト指向言語の基本部分に加えて、共同体、メタレベルアーキテクチャ、グローバルGCなどを導入している。OCoreの特徴的な概念の1つである共同体はOCoreのオブジェクトが失ったメッセージ処理の並列性を提供する。共同体はオブジェクトの集合をインデックスの任意のn個の組によって一意に決定可能なn次元空間(n≥1)に配置し、管理するための枠組みである。さらに、共同体のインスタンスはそのメンバオブジェクト間でのバリア同期、メンバオブジェクトのスロットに対するリダクションなどの大域的操作が可能である。また、共同体と似た概念をもつ言語にCA(Concurrent Aggregates)等がある。OCoreによるプログラミングではアプリケーション内の定型的な並列性(データ並列)を共同体で、非定型的な並列性(コントロール並列)をオブジェクトにより記述することが可能である。しかしながら、共同体のデータ並列性の記述能力に注目した場合、粒度の大きさがメンバオブジェクトの大きさによって決定されることになる。したがって、内在する並列性をアプリケーション毎に的確に記述を行なうには共同体の個々のメンバオブジェクトを構造化する必要がある。共同体及びメンバオブジェクトはオブジェクト指向計算における、配列構造の1つの拡張であると考え、アプリケーションとして行列演算を適用することにした。本研究では、行列演算の記述の容易性と実行の効率化をめざして、行列演算の並列実行のために4つ組+1構造による行列共同体の実装方法を示す。
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-09-04

OCoreにおける4つ組+1構造による行列共同体の実装

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク