遅延属性文法
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概要
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属性文法がコンパイラの仕様記述以外に広く応用されはじめるにつれ,それまで実用的クラスとしてはもっとも大きなクラスと考えられてきた絶対非循環属性文法の枠内では扱えない問題が多く登場するようになってきた.特に,属性同士の依存関係に循環(circularity)を許すことは,データフロー解析やVLSI設計,あるいは属性文法自身をプログラムとして直接実行する文法プログラミング等において必須の条件になっている.本稿では,すでに報告がなされている属性間の依存関係に循環を許す循環(circular)属性文法(CAG)に対し,遅延属性文法(LAG)なる新しい文法クラスを提案する.LAGの最大の特徴は,属性式の評価においてその引数にあたる属性の値が事前にすべて定義されている必要がない(laziness)という点にある.このことは,これまで循環属性文法で試みられてきた様々な評価器実現アルゴリズムに対し,(属性文法形式を関数型の枠組みに変換することで)これまで遅延関数型言語の世界で確立されてきたグラフリダクションの技術がそのまま使えることを意味する.当然のごとく,この技術は循環を含まない絶対非循環の文法クラスに対してもそのまま適用できる.さらに,属性の値に関し遅延を許すということは,属性式の値が確定する範囲において未定義な属性も許すことをも意味し,これまで属性文法で当然と考えられてきた属性値に関する基本的立場を大きく変えるものとなる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-09-20
著者
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