位相文法における限量詞
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
文法にもとずく解析は、文解釈の際に、重要な部分を占めている。ある一つの理想的な文法が存在するわけでなく、作り上げられて先験的に与えられる文法は、入力である文の集合に適合するように、絶えず修正、拡張を余儀なくされること周知のごとくである。逆にいうなれば、修正および拡張が常に必要であるのなら、そのような作用に強い、つまり、多少の修正、拡張に対して安定した構造を与えるような文法の枠組を提案することが課題となってくる。そこで、位相を導入した文法(参照4)、注)を考え、その上での、修正、拡張の方法と、構造上の意味を検討してみる。ところで、文法の構成要素であるカテゴリは、文とか、名詞、動詞などの主要なカテゴリと、それらに対する修飾詞などの補助的な役割をもつカテゴリとに大別される。主要なカテゴリが引き起こす文法の変更は、変形文法理論において多くの議論がなされていて、変更についての明確な理由をもち、多くの場合、「多少の修正、拡張」で済む話しにはならない。それに引き替え、補助的なカテゴリのうちの限量詞は修飾する相手からあまり離れることもなく、「多少の修正、拡張」で済む場合が多い。今回は、限量詞に対象をしぼって、そのふるまいと位相文法との関係について述べてみる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-03-14