日本ビタミン学会第56回大会シンポジウム「バイオファクターとしてのD-アミノ酸」の企画にあたって
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概要
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L-アミノ酸が生体においてタンパク質の構成単位として役立ち, 更に様々な役割を果たすのにたいし, D-アミノ酸は生物界に無縁の人工産物であるとかつては考えられた. 数十年前に細菌細胞壁やペプチド性抗生物質にD-アミノ酸が発見されても, 特殊な例であるとの考え方が長期にわたり支配的であった. しかし, この十数年の間に事態は大きく変り, 分析技術の進歩にも支えられて多種多様な生物中に遊離型あるいはペプチド成分として, さらにはタンパク質の成分としても存在することが明らかになり, その役割の解明も進展している. 量的な面からみても, 特定のアミノ酸のD型が, 含有率においてL型に匹敵する例や, 更には凌駕する例もしばしば認められている. 本シンポジウムではこの有様を如実に展開, 提示し, 生物界におけるD-アミノ酸の拡がりや生理機能に関する認識を深めることを企図した. 標記の題中の「バイオファクター」は「生体機能の発現に必要な物質」という程度の意味合いで, ビタミン並の微量に限定せず, かなり多量において機能を発揮する場合も含んだつもりである. 広範な生物を見渡すため, 細菌, 単細胞真核生物, 無脊椎動物, 哺乳類などにおけるD-アミノ酸を研究されている方々に, それぞれの最新の知見を発表していただくこととした. 哺乳類においては特に, 最も注目される神経系と内分泌系におけるこのアミノ酸の挙動と役割を中心とした. 惜しくも, 時間などの関係により組み込めなかったテーマも残っている. その一つは, 特定のD-アミノ酸残基を機能に不可欠な成分として含むタンパク質に関するものである. これについては別の機会を期待したい. ネ本シンポジウムは, 日本ビタミン学会第56回大会(平成16.5.28〜29, 長岡市)において行われた.
- 日本ビタミン学会の論文
- 2005-02-25
著者
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