1.ビタミンDと骨(脂溶性ビタミン総合研究委員会 第308回会議研究発表要旨)
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概要
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ビタミンD欠乏によるくる病は骨代謝研究の原点ともいえる疾患である. 生活習慣, 生活環境の変化によって, 栄養状態の良好な現在においてもなおビタミンD欠乏によるくる病の発生を認める. 我々が2歳未満の幼児において検討した結果では, 調査対象の約10%は25水酸化ビタミンD濃度が10ng/mlを下回っており, 下限を20ng/mlとするとその頻度は30%にまで達することが明らかとなっている. このようにビタミンD欠乏は正常な骨発育にとって重要な因子であるばかりか, 骨粗鬆症の治療薬としてもその効果は広く知られている. しかしながら, その作用が体液中のCa, Pi濃度の維持作用によって生じているのみか, 直接骨の細胞に作用し機能を発揮しているのかは明らかではない. そこで, Ca, Pi濃度の正常な環境においてVDRを欠く骨が如何なる挙動を表すのか, VDRKOマウスを用い異所性骨移植実験, 骨器官培養などの実験系で検討してきた. 野生型マウスに移植されたVDRKO骨は同じマウスに移植された野生型骨よりも高い骨量を示した. 同様の結果は骨器官培養においても示された. 骨組織の検討からその効果は骨幹端よりもむしろ骨幹部に強く現れ, 出生直後の骨においても明らかであった. さらに, 胎仔骨の骨化においてもVDRKO骨で野生型よりも早期に骨化の進行が観察された. これらの結果から, ビタミンDの骨に対する直接作用は, 膜性骨形成の過剰な進行を抑制することにあると考えられた. このビタミンDの骨に対する効果の分予機序についても考察を加える.
- 日本ビタミン学会の論文
- 2004-10-25
著者
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