ABR : 意識情報を用いた推論方式の提案
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概要
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現在の推論システムには,計算可能性という課題と,解の非決定性,解の状況非依存性という問題がある。計算可能性という課題は,資源の有限性に起因している。無限の計算速度と,記憶を持つのであれば推論システムは論理的全知(logical omniscent)であるが,現実には知識と処理の部分性により,推論システムの知りえる知識は限られてくる。解の非決定性とは,現在の推論システムにおける以下の問題のことである。(1)演繹において,複数の解が得られる時にどの解が最適なものあるかを決定できない(2)デフォルト推論においてどのExtensionを採用するかを決定できない。(3)類推において,類推の対象をどの知識にするかを決定できない。類推を基礎技術とする事例推論において得られる解と,Extensionの関係についての示唆がでされている。解の状況非依存性とは, 推論システムが置かれている状況や,問題のコンテクストに合った適当な解を推論することができないことである。また,陽に知識として表現できないユーザの嗜好に依存した推論ができないことである。前者を解決する試みとしては,状況理論,後者を解決する試みとしてはファジィ論理,ニューラルネット等がある。本論文では,上記の問題に対処できる推論システムの枠組みであるABR(Awareness-based Reasoning)を提案する。ABRは,意識情報(各知識をどれだけ強く推論システムが意識しているかについての情報)を管理するAMS(Awareness Maintenance System)と,これを用いて推論を行う推論機構により構成される。そして,例として,ABRの類推への適用を示す。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-10-16
著者
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