ニューラルネットワークによる遺伝子のスプライシング部位の同定

概要

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真核生物では、多くの遺伝子においてアミノ酸をコードする領域(エクソン)の間にアミノ酸として翻訳されない領域(イントロン)が存在し、核内で直接の転写産物(mRNA前駆体)から除去される。この現象(スプライシング)は、生物の進化や遺伝情報の発現などにおいて重要な意味を持つと考えられているが、その内容については、まだ不明な点が多い。エクソンとイントロンの接合部位には一定の規則性(コンセンサス配列)があるが、それだけでは接合部位の特定は難しい。我々は、エクソンとイントロンの接合部位のまわりの配列を教師信号として与えることにより、ニューラルネットワークによる学習機構を用いて、接合部位を認識するネットワークを生成するプログラムを作成したので、その内容と各種の遺伝子に適用した結果を報告する。また、β-サラセミア(遺伝性の貧血性疾患)患者のβ-グロビン遺伝子に我々の方法を適用し、点突然変異によってもたらされるスプライシングの異常について解析した。
社団法人情報処理学会の論文
1988-09-12