高温性放線菌の細胞壁溶解活性について : (第3報)Micropolyspora sp. の生産する溶菌酵素構成成分の若干の性質
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概要
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高温性放線菌Micropolyspora sp. No.434の生産する細胞壁溶解酵素を精製しその若干の性質を調べた. DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーでは, 粗酵素標品は2つの活性区分P-1,P-2に分れた. 前者はプロテアーゼ活性のみを含み, 後者はプロテアーゼおよびβ-1.3-グルカナーゼより構成されていた. Candida utilisの生菌体に対する溶菌活性は, P-2において最も強力であり, プロテアーゼとβ-1.3-グルカナーゼの相剰作用が, 反応液の濁度の著しい減少をもたらしたものと考えられた. Sephadex G-100のカラムクロマトグラフィーにおいて, プロテアーゼ活性は単一のピークを示し, DEAE-セルロースカラムにおいて分画されたP-1,P-2のプロテアーゼは, 同一の分子量を有するものと推察された. プロテアーゼならびに溶菌活性は, 80℃, 10分間の処理で40〜50%の活性を保持し, Cu^<++>, Hg^<++>, Ag^+ , KMnO_4,PCMBにより阻害された. 一方, β-1,3-グルカナーゼ活性は80℃において, より不安定であり, Mn^<++>, Fe^<++>, Cu^<++>, Hg^<++>, KCN, KMnO_4 により阻害を受けた. 此等の結果より, 粗酵素標品中のプロテアーゼが, 酵母の生菌体の分解に重要な役割を演じていることが判明した. このプロテアーゼの若干の性質を, β-1,3-グルカナーゼ生産能を失ったMicropolyspora sp. No.434の菌株を用いて調べた. プロテアーゼは, DEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィーにおいて2成分に分画され, いずれも耐熱性のアルカリプロテアーゼであることが判明した. 主成分のP-II区分は, disc電気泳動の結果単一の成分であることが証明され, 26%の収率で45倍に精製された. Sephadex G-100によるゲル濾過の結果, P-IIの分子量は25,000〜30,000の範囲にあるものと推定された.
- 公益社団法人日本生物工学会の論文
- 1972-09-25
著者
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