豪雪地帯におけるブナ二次林の再生過程に関する研究(III) : 平均胸高直径の異なるブナ二次林6林分における種子生産
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概要
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中・小径のブナ二次林6林分において, 更新の起源や平均胸高直径のちがいと種子生産数との関係を調べた。その結果, 1)着果木の最小サイズは胸高直径が8cmで, その林分の平均胸高直径は7.4cmであった。2)着果は, 小径木であっても受光条件が良い林冠でみられ, かつ萌芽起源の林分は実生起源の林分よりも早く着果する傾向がみられた。3)平均胸高直径と種子生産数の間には, 指数関数的な増加傾向がみられた。平均胸高直径が同程度の場合, 種子生産数は萌芽起源の林分のほうが実生起源の林分より多かった。このことは, 地下部の年齢の差によるものと推定された。4)林分における1m^2あたりの落下種子数の変動係数は, 平均胸高直径が大きい林分ほど, また落下種子数が多い林分ほど小さかった。5)充実種子の割合は, 林分の更新の起源と関係なく, 林分平均胸高直径の増加とともに一定の傾向で増加するが, 充実率約65%で頭打ちとなった。これらの結果をもとに, ブナ二次林における皆伐後の実生による更新の可能性について検討した。
- 日本森林学会の論文
- 1986-11-25
著者
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- 森林の生態学-長期大規模研究からみえるもの-, 種生物学会編, 責任編集:正木隆・田中浩・柴田銃江, 文一総合出版, 2006年3月, 383ページ, 3,990円(税込), ISBN4-8299-1066-6(ブックス,Information)
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